はじめに
最近、ヤフオク、Yahoo!ショッピング、楽天などで、Quectel EC25-Jを搭載したRaspberry Pi用のLTEモデムHATが、1,000円前後で出回っています。
数枚購入してみたので、セットアップ手順や使用方法を紹介します。
外観と付属品
HAT基板本体と、LTEアンテナが付属しています。
SIMカードはmicroSIMに対応しています。
モデム情報
接続後、ATコマンドで取得したモデムの情報は以下の通りです。
# ATI
Quectel
EC25
Revision: EC25JFAR06A05M4G
OK
# AT+QGMR
EC25JFAR06A05M4G_01.008.01.008
# AT+QAPSUB
APSubEdition: V01
詳しくは以下のマニュアルを参照してください。
セットアップ方法
今回はRaspberry Pi 3で動作確認を行いました。
1. HATの接続
- HATをRaspberry Piに装着します。
- HATとRaspberry Piをmicro B USBケーブルで接続します。
2. PWRKEYの制御
PWRKEYはGPIO21に接続されているため、有効化します。
sudo pinctrl -p -e set 21 op dh
数秒後、/dev
ディレクトリ配下にttyUSB0〜ttyUSB4が出現します。
3. シリアルターミナル接続
任意のシリアルターミナルで**/dev/ttyUSB2**に接続します。以下はminicomの例です。
sudo minicom --device /dev/ttyUSB2 --baudrate 119200
4. MBIMモードへの切り替え
簡単に接続を行うため、ATコマンドでMBIMモードに変更します。
AT+QCFG="usbnet",2 # MBIMモードに設定
AT+CFUN=1,1 # モデム再起動
再起動後、約10秒ほど待つと**/dev/cdc-wdm0**が出現します。
ls /dev/cdc-wdm*
# /dev/cdc-wdm0
モバイルネットワーク接続の設定
1. APNの設定(nmcli)
nmcli
コマンドを使用して、APN情報を設定します。
sudo nmcli connection add type gsm ifname cdc-wdm0 con-name <接続名> apn <APN> user <ユーザー名> password <パスワード> connection.autoconnect yes
例: Biglobeモバイル(タイプD)
sudo nmcli connection add type gsm ifname cdc-wdm0 con-name biglobe apn biglobe.jp user user password 0000 connection.autoconnect yes
2. 接続確認
接続が成功していれば、以下のように表示されます。
nmcli
# cdc-wdm0: connected to biglobe
# "cdc-wdm0"
# gsm (cdc_mbim, option1), hw, iface wwan0, mtu 1500
# inet4 192.0.2.1/24
# route4 192.0.2.0/24
# route4 0.0.0.0/0
おわりに
格安で手に入るQuectel EC25-J HATですが、LTE通信モジュールとしての基本機能は十分に備えており、Raspberry Piとの組み合わせで簡単にモバイルネットワーク環境を構築できます。
興味のある方はぜひ試してみてください!